読売新聞 同窓 こえ 顔 県立神奈川工高

昭和63年7月、8月に、読売新聞神奈川版に5回にわたって掲載された、企画記事「同窓 こえ 顔」神奈川工高です。*は追記を示します。

肩書きは、記事掲載当時のものです。新聞切抜きPDFはこちら(1.5MB)

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昭和63年7月8日 同窓 こえ 顔 神奈川工高

神奈川工業は、明治44年に創立された県内最初の工業学校。卒業生には、工業会で活躍する人が多いが、戦前、戦中の卒業生の中から紹介すると、まず、厚木ナイロン(現アツギ株式会社*)社長の堀禄助*1(機械科・昭2年卒)、川崎市の昭特製作所元会長花田宰平*2(機械・大15年卒)。

堀は、シームレス・ストッキング製造技術の開発者で、昭和54年には神奈川文化賞を受賞。花田は、テレビカメラ移動装置開発のパイオニア的存在だった。

このほか、高精密スクリーン印刷機開発を手がけたニューロング精密工業社長井上貴靖*1(機械・昭6年卒)、電子部品の生野製作所社長堀之内斉*1(機械・昭4年卒)、鋳造機械加工の恩田精機製作所社長の恩田友重*1(機械・昭12年卒)、造水機メーカー酒井製作所社長酒井侊一(機械・昭9年卒)、特殊自動車部品の中村製作所社長中村重治*1(機械・昭13年卒)ら多士済々。

同窓会長を務める神谷恭平*1(機械・昭13年卒)は横河商事会長、副会長の酒井輝義(建築科・昭17年卒)は、横浜市の酒井建設社長。

年齢的に第一線は退いたが、各分野で輝かしい業績をあげた技術者に、化学工学の設計図表考察の久崎博睦(機械・大14年卒)、起震機を開発した伊藤一*2(機械・昭2年卒)、雷よけ送電線など電子工業分野で小泉俊雄*1(電気・昭3年卒)、特殊放電管技術開発の三枝久二*1(機械・昭5年卒)らがいる。

学界では、東北大名誉教授、東京電機大教授(数学専攻)の土倉保(機械・昭和15年卒)、東海大教授(電子工学)で工学博士の小沢淳男*1 (電気・昭7年卒)、埼玉大教授で弾性力学の権威、吉川敬治(精密機械・昭18年卒)。

工業学校とは畑違いだが、中央大教授で政治学の横山桂次*2(電気・昭13年卒)も同窓だ。

昭和63年8月5日 同窓 こえ 顔 神奈川工高

神奈川工業の正門を入ったところにある大きなクスノキは、創立当時から同校のシンボル。

現校長の神戸昭夫(電気・21年卒)、教頭の落合弘*1(建築・27年卒)は、共に同校OBで、いわば、クスノキの元から巣立って、また舞い戻ってきたペア。

「校長、教頭ともOBというのは、県内でも極めて珍しいケースですよ」、神戸は語る。

2人のほかに、教育界で活躍する同窓生には、県立有馬高校長三宅久夫(建築・20年卒)、県立平塚西工業技術高校(2003年に県立平塚工業高校と合併して県立平塚工科高校に再編統合*)校長宗岡博義*1(電気・同)。

元県立相模台工業高校(2005年県立相模原工業技術高校と合併して県立神奈川総合産業高校となる*)校長の荻井清治(機械・17年卒)、元県立川崎工業高校(現川崎工科高校*)校長杉山哲郎(同・同)、元県立小田原城北工業高校長笹尾利男(電気・同)らも同窓生。

また、教育評論家としてマスコミにも登場している阿部進(機械・24年卒)は、同校から、横浜国大学芸部(現教育学部)に進んだ。

さらに、学会で活躍する同窓生には、早大教授(商学)の朝岡良平(機械・20年卒)、北海道大教授(電気工学)宮台朝直(電気・昭22年卒)、慶応大教授兼同情報科学研究所長で工学博士の相磯秀夫(電気・25年卒)、明治大学刑事博物館研究員で、「神奈川県史」の近世を担当した神崎彰利(電気・26年卒)ら。

また、防衛庁技術研究本部でロケット工学を研究する工学博士の辻角信男(電気・昭25年卒)

=卒業年度はすべて昭和=

昭和63年8月12日 同窓 こえ 顔 神奈川工高

神奈川工業には、創立5年目の大正4年に、図案科が設置された。

太平洋戦争中、一時廃止されたが、戦後復活し、広告業界、美術界に多くの人材を輩出している。

美術界では、横浜市在住の童画家の熊田千佳慕*1(本名・五郎)(図案・4年卒)、鍛金作家分野で東京芸大教授、日展評議員の山下恒雄*1(図案・17年卒)、若手女流では、彫金の平岩共代(工芸図案・42年卒)。

その他、映画シナリオ作家の広沢栄一*1(図案・18年卒)、模型飛行機業界の重鎮で、ライト兄弟が幼いころ飛ぱした模型飛行機を復元したこともある山森喜進*1(図案・15年卒)も図案科卒業生だった。

広告業界では、製薬会社の社員クリエータ出身で、吉田賞、衣笠賞、ACC賞など業界の各賞を受けた東京広告協会顧問の椎橋勇*1(図案・3年卒)、広告イラストの先覚者の氏原忠夫*1(8年卒)、ライトパブリシティー社長で、日宣美展特選の受賞歴もある細谷巌(29年卒)ら。

また、同校の同窓会「神奈川工業会」の事務局長で、20年以上にわたって同校の教壇に立った荒井正治*1(14年卒)も図案科出身。

その他、芸術、芸能分野では、版画家の大内マコト(電気・20年卒)、映画監督の岩間鶴夫*1(電気・16年卒)、俳優の織本順吉(本名・中村正昭)(電気・20年卒)、漫画家の望月三起也(定建築・33年卒)も同窓。

=卒業年はすべて昭和=

昭和63年8月19日 同窓 こえ 顔 神奈川工高

地方政界に目を向けると、県議会では、相模原市選出で民社党の3区連会長も務める石井充(機械・16年卒)、藤沢市議から昨年の統一地方選で県議に初当選した公明党の服部圭介(電子工業・39年卒)。

横浜市議会には、社会党の安藤和男(電気・33年卒)、公明党の榊原重正(機械・20年卒)。川崎市議には、市民クラブ所属の増渕榮一(機械・23年卒)がいる。

元平塚市議の宮代長次*1(建築・3年卒)も同窓。ちなみに、平塚商工会議所副会頭で成瀬産業会長の成瀬正義*1(同・同)は宮代と同窓生。

異色な所では、登山家・山岳ガイドの長谷川恒男*1(定機械・43年卒)。10年前、アイガー北壁冬季単独初登頂を成功させて話題を呼んだ。

また、労働戦線統一に動く主役の一人、電機労連委員長の藁科満治(電機・24年卒)も同窓生の一人。同校から早大に進んだ。

そのほか、NHKのスポーツ中継でおなじみの土門正夫(精密機械・23年卒)、NHKで技術局長の要職を務める高橋道清(電気・25年卒)も同校出身だ。

=卒業生はいずれも昭和=

昭和63年8月26日 同窓 こえ 顔 神奈川工高

地元経済界に目を向けると、まず、横浜港湾荷役業界再王手の藤木企業社長藤木幸夫(機械・23年卒)、同校野球部後援会長を務める。。

タクシー業の神奈川都市交通専務長瀬祐助(精密機械・同)、中区の建設業の渡辺組社長渡邉謙四郎(建築・28年卒)、横浜・鉄工業界の開拓者で平野勝之助*2(機械・大13年卒)、緑区の日本高周波社長篠原己拔(定電気・昭24年卒)も同窓になる。

その他、芝浦製作所専務堀越晃(建築・昭27年卒)、横浜市建築局長廣瀬良一*3(建築・昭27年卒)、神奈川大教授小島雅一(機械・昭31年卒)、国際基督大教授(数学者)絹川正吉*4(精密機械・昭23年卒)、東京職業訓練短大教授尾上秀夫(電気通信・昭24年卒)らと多士済々だ。

地元、神奈川区議会長の神戸悟(精密機械・昭18年卒)は、現校長の兄。望月鉄雄*1(電気・昭10年卒)、小池輝夫*1(精密機械・昭17年卒)は、東京計器工場長を務める。

<注>

*1:物故者(2013年)

*2:連絡先不明者(2013年)

*3:元横浜市助役

*4:元国際基督教大学学長