神奈川工業会は、県立神奈川工業高校の同窓会です 

記念誌 二渓の風に乗って

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100年の足跡 3年制工業学校

生徒心得

生徒控室

そのころの学校生活の様子を知るに、1917(大正6)年5月1日現在の「神奈川県立工業学校一覧」は貴重な資料である。当時の「生徒心得」には、ズボンにかくし(ポケット)を付けないことや、白の水兵型のゲートル帽子の高さや庇の広さなど、細かな服装の規定が記されている。第十一条四に「自転車ニテ通学スルモノハ冬期ニ限り手袋ヲ用イルコト」とあるから、自転車での通学が許可されていたことがわかるが、冬の間、手袋を着用することは自転車通学者にのみ認められた特権であったことが興味深い。また、学校内での立ち居振る舞いについては、敬礼の一挙手一投足に至るまで細かく規定されている。

職員及其他ノ長上ニ対シテハ左ノ通り心得ヘシ

図書室「大器晩成」の額

一 姿勢ヲ正シ対者ノ眼ニ注目シテ上体ヲ少シク前方ニ傾ケ敬意ヲ表スルコト

但シ帽ヲ戴ケルトキハ右手ニテ其前庇ヲ把リテ之ヲ脱シ内面ヲ右股ニ対セシメテ然ル後前ノ如クナスヘキコト

二 急務中又ハ止ムヲ得サルトキノ外ハ其面前ヲ疾走シ又ハ横切ル等ノコトアルヘカラサルコト

といった具合である。これは生徒同士についても同様で、敬礼を略してよい場合については次のように決められていた。

一 学校内ニ於テ同一ノ職員及其他ノ長上ニ出遇フトキ二回目ヨリハ第十三条ノ礼法ヲ略シ軽ク会釈ヲ為シテ敬意ヲ表スルニ止ムルコト

二 両手ニ物品ヲ携帯シタルトキハ第一三条ノ礼法ヲ略シ只少シク上体ヲ前ニ傾ケ敬意ヲ表スルニ止ムルコト

三 雨雪等ノ為ニ外套ノ頭巾ヲ被リタルトキハ右手ニテ帽庇ヲ摘ミタルママ上体ヲ少シク前ニ傾ケ敬意ヲ表スルニ止ムルコト

この心得の通り行動するとなれば、学校生活は常にかなりの緊張感を伴うものであったろうが、こうした心得からは、当時の本校で、いかに礼節を重んじた指導を目標としていたかがうかがわれる。